おおはらのブログ

ひとりごと

落書き

   僕が教育実習に行ったとき、授業中ほぼ毎回、落書きをしている子がいた。その子は自閉症で、自分の世界に入りがちな子だった。授業中も先生の話を聞かないで落書きをしているので、何度も先生から叱られていた。あるとき、先生も痺れを切らしたのだろうか、落書きをしているその子に対して本気で怒った。その子は涙を流していたので、僕はその子にテッシュを手渡した(僕のゼミでは習慣になっている)。すると、先生は「今は指導中だから、そんなことをするな」と僕に怒った。僕にとっては涙を流している子がいたら励ますのが当然のことであった。この時、自分は先生にはなれないと思った。

 さっき、僕は再再再履修のテストを受けた。東洋史の内容なのだが、そもそも上級者向けで、授業がほとんど理解できない、それに加えて(知っている前提で)事実を淡々と話すだけで、本当につまらない。そのため、授業に出るのが苦痛で履修しても授業に耐えることができずに、休んでしまっていたのだった。今回も授業には2回しか出なかったが、友達にプリントを印刷させてもらって、持込み可のテストを受けた。案の定、テストはできなかった。テスト終了の時間を待つ僕は、何となく落書きをしていた。これまで授業ではほとんど落書きはしたことがなかったのだが。僕は、カタカタとペンで回答を記述する周りの人から、ダメな自分を切り離して自分の世界に入ろうとしていた。つまり現実逃避である。また、落書きの登場人物に自分を励ましてもらおうとした。

   そして、落書きをしながら、僕はふと教育実習で出会ったあの子のことを思い出していた。実習で出会ったその子はどうして授業中に毎回、落書きをしていたのだろうか。多くの人は、その子が自閉症だからというのかもしれない。確かに、それは事実なのだろうが、果たしてそれだけなのだろうか。そして、その子に「もうしません」を言わせることは果たして正しい指導といえるのだろうか。

   その子の心配をする前に、まずは自分のことを心配しろと言われそうですが、僕にとってはその子の心配は自分の心配でもあるので、やっぱりその子のことを僕は考え続けていきたいです。

         f:id:kisomono:20180130165515j:plain

   それにしてもなぜこんな落書きをしたのだろうか(笑)